ダズリング・スタイル 輝き続ける女性のためのWEBマガジン
ダズリング・スタイルとは
チアリーディングは、子供から大人までそれぞれの年代で楽しみながらできて、様々な効果が得られるスポーツです。単にダンスを踊るだけではなく、頑張っている選手やチームの応援を通して“一体感や感動を共有する”といったスポーツの新たな楽しみを知ることもできます...
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PEPsチアリーダーズ
連載インタビューvol.12
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日常を忘れてその世界に入り込むダンスを!
 
Q.大学卒業後は就職せず、フリーで活動を始めました。現在に至る経緯は?

A.伊藤ハムの友人が上司の方から「会社のアメフト部にチアをつけたい。仕事としてやりませんか?」と誘っていただき、高校時代の友人と振り付けをする事になったのが、Xリーグでチアを指導した最初でした。それから、協会にスポーツクラブでエアロビクスのレッスンを持っている先生がいた関係で、オーディション情報をいただいてスポーツクラブでダンスのインストラクターをするようにもなりました。そこからどんどん広がり、最終的には、卒業して3、4年でスポーツクラブのレッスン12本と、学校は6校を受け持つようになっていました。

Q.振り付けや指導する楽しさは、どんな部分ですか?

A.自分の考えた振り付けを誰かが踊ってくれる事が何より嬉しいですね。あとは、そうした活動を通して、さまざまな人たちと出会える事です。

Q.北垣さんにとってのチアスピリットとは?

A.たぶん、ここが他の方と違う点かと思いますが、私自身は「誰かのために応援する」とか「励ましたい」という気持ちは、あまり強くないんですよね。チアに限らず、自分がダンスに関わり続ける上で大切に思うのは、「踊る側、見る側問わず、集まってくれた人たち全員に、日常を忘れてその世界に入り込んでもらえるかどうか」。
それによって一瞬でも、日常のいやなことを忘れられたり、逆にエネルギーを得てもらえる空間をつくれたら、と思います。


Q.発表は、どんな形でしているのですか?

A.大会に年2回出場して、あとは年1回、自分達で公演を開いています。チームのメンバーは子供たちにチアダンスを教えているので、その生徒の子達や一般の方たちが3,000人くらい見に来てくれます。舞台セットを組み、照明を当て、映像も取り込んだ、ヒップホップ、ジャズ、チアダンスを融合した本格的なショーです。
 
「ダンス」という大きな枠で捉えることで、世界も夢も、もっと広がる
 
Q.今後の目標は?

A.チアは、もっとエンターテイメントとして取り組むほうが向いているスポーツだと思うので、大会だけに固執はしていません。それよりもエンターテイメントな形で発表できる場を、もっと増やしていけたらと思っています。

Q.現在のチアを取り巻く環境について、どう見ていますか?

A.「チアはチアで」と括ってしまう事は、私自身は、正直どうかな、という気持ちでいます。日本では、チアの人はチア、ヒップホップの人はヒップホップ、ジャズの人はジャズ、と見られがちですが、アメリカでは全然違います。専門分野はあったとしても、ダンスという大きな枠で捉えている。
今、チアを始める女の子がどんどん増えてきていますが、「その子たちが最終的に何を目指すのか?」という問題があります。「将来はチアリーダーになりたい」と思っていても、チアリーダーという仕事はない。となると、指導者の道しか残らない。
そうではなくて、もっとチア自体、つまり、ダンスの世界自体がひろがっていけば、子供たちにも、もっとたくさん、夢を与える事が出来るはずですし、自分自身も、それに貢献出来たらと思っています。

(取材・文/会津泰成)
 
【 取材後記 】
日本のチア界において、彼女はもしかしたら、異端児かも知れない。しかし、クールな表情を見せる一方で、チアやダンスに対する情熱と志の高さは誰にも負けない。だからこそ、彼女の振り付けしたパフォーマンスは、人々を感動するに違いない。伝統とは、破壊と創造の積み重ねにより築き上げられる。それを、彼女はよく知っていた。
 

 

北垣 美砂(きたがき みさ)
9月25日生。東京都出身。9歳よりモダンバレエを習い、高校時代は創作ダンス部に所属。國學院大学でドリル競技部を創設。JAZZ、HIPHOPも同時に習得。
1995年よりXリーグ内の数チームでチアコーチやコリオフラファーとして活動。1996年チアダンス&ダンスチーム「DANCE FOR THE PLANET」立ち上げ。
1997年NDAナショナルチャンピオンシップではJSDA主催の選抜チームで全米準優勝。
2000~2004年XリーグオールスターチアリーダーVENUSダンスディレクター。
フジテレビのバラエティ番組『ワンナイR&R』でのゴリエちゃん企画にて、楽曲、PVやワンナイライブや紅白での振り付け&バックダンサー、ゴリエ杯企画&審査員を担当。
「DANCE FOR THE PLANET」チアアンドダンスDVDの他、任天堂wiiのゲームソフト『We Cheer』の全振り付けをPLANETSとして制作。
株式会社プラネッツ代表取締役。
http://www.d-planets.com/
 
『Dazzling Style』人物取材を終えて
競技としてのチア、ダンスとしてのチア、そして応援としてのチア。一言で「チア」と言ってもさまざまな顔があることを、僕は今回、取材を通して学んだ。こうした多様性や柔軟さは、他のスポーツにはない、チアならではの魅力だ。しかし一方で、その多様さゆえ一般にはわかりにくさにもなっているのも事実だ。そのあたりは、今後普及を図る上での課題であろうし、逆に発展の可能性を感じる所でもある。
見て楽しく、プレーして楽しく。誰もが笑顔に、優しく、そして幸せな気持ちになれる。殺伐とした現代社会で、女性、男性関係なく、それは何より求められているものではないか。そんな素敵なチアスピリットを、これからも情熱あるメッセンジャーたちによって広まることを、偶然チアと出会いそしてファンになった一男性として、見守りたい。
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