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チアリーディングは、子供から大人までそれぞれの年代で楽しみながらできて、様々な効果が得られるスポーツです。単にダンスを踊るだけではなく、頑張っている選手やチームの応援を通して“一体感や感動を共有する”といったスポーツの新たな楽しみを知ることもできます...
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連載インタビューvol.8
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信念で乗り越える
 
Q.ブロンコスチアのトライアウトはおよそ350人が受験し、合格は34人だったと伺いました。ハイレベルな狭き門でしたが、自信はありましたか?

A.自信というよりも、とにかく「あの場所で踊ってみたい!」という気持ちが強かったですね。トライアウトに挑戦するにあたって、当初、わたしのなかでは「NFLチアはNBAチアとは違い、ダンスパフォーマンスより雰囲気を大切にしている」というイメージがあったのですが、実際に受けに行ってみたら、みな体操選手のように跳んだり跳ねたりしているんです。内心「どうしよう、これはエラいところに来てしまった」と(笑)。
でも、「わたしは駄目だ」と思ってしまったら、その時点で負け。「信念で乗り越えなければ」と思い直して「じゃあ、わたしのアドバンテージはなんだろう?」と考えました。
 
Keep Smiling
 
Q.それは何でしたか?

A.当時ブロンコスのチアのトライアウトは、地元の人しか受けていなくて、わざわざ他の州から受けに来る人はいませんでした。そんな中、わたしは日本から受けに来た。「本気でブロンコスのメンバーになりたい!」という情熱だけは、絶対に負けないし、そこをアドバンテージとして訴えようと思いました。その時、わたしはVENUSで頂いたブレスレットを付けていたんですが、そのブレスレットに書いてあったのが、『Keep Smiling』。それを見て、「よし、わたしは、何があっても笑っていよう」と心に決めました。

Q.心の支えになった。

A.はい。「笑顔と諦めない心。このふたつは絶対負けない」とずっと自分に言い聞かせて挑みました。わたしより技術的に優れた受験者は大勢いましたが、チアに対する姿勢、取り組み方は絶対負けない!と。そのあたりを評価して頂いての合格だったと思います。
 
悔しさを力に
 
Q.念願のメンバー入りを果たして活動を始めて見て、何が大変でしたか?

A. まず何より、言葉の問題です。日本では専門的に勉強はしていなかったので、英語学校にも通ったのですが、実践英語となると全然違いました。なので、当初は、ブロンコスのチアリーダーなのに言葉が片言なためにファンとも積極的にコミュニケーションがとれず、とてももどかしたかったですね。
ブロンコスチアでは、毎年、チーム全体で1,000時間のボランティア活動をする事になっていて、チームメイトは50時間、100時間と活動しているのに、わたしは1年目はわずかに4時間。すごく悔しかったのを覚えています。
 
失敗を恐れない
 
Q. でも、2年目も、ブロンコスに残る事が出来ました。

A. 毎年シーズン終わりに、ディレクター面接があるんですが、その面接の雰囲気で来年も契約してもらえるかどうかが、何となくわかったりもします。わたしは正直、『来季は駄目かもしれないな』と思っていました。でも、面接が始まると意外な答えが返ってきました。ディレクターからは『うちのチームを選んでくれてありがとう』と言われたんです。
普段は少々怖い存在でもあったディレクターから笑顔で感謝の言葉を頂けた。人一倍努力をして乗り越えようとしていた姿を、しっかり評価して頂いていたんですね。それで、2年目も再びオーディションを受けるチャンスを頂けました。そうして無事に合格する事が出来、2年目も活動する事が許されました。その時、「ディレクターの思い、チームの評価に報いるためにも、さらに努力を重ねて挑戦していかなければ」と気持ちを引き締めました。
 
Q. 失敗を恐れずチャレンジした。

A. はい。1年目はたった4回だったボランティア活動も、2年目はチームで2番目に多く参加する事が出来、チーム内で投票をする“最も影響力や感銘を受けたチアリーダー”に贈られる賞(MOST INSPIRATIONAL AWARD)とジュニアブロンコスチアリーダーの生徒の親からの投票で選ばれる賞(Best JDBC Instructor Award)を頂くことも出来ました。
 
笑顔をひろげたい
 
Q.4年間のNFLチア経験を経て、今年からは国内に活動拠点に戻しました。今後はどのようなビジョンをお持ちですか?

A.現役を引退するのは、すごく勇気が必要なんです。現役でいることが、自分を一番輝かせてくれますし、好きな場所にいられるということでもありますから。
でも、やはり最終的には、経験なり学んだ事を伝えていく事がわたしの使命ですし、お世話になった方々への恩返しになるのではないか、と思っています。なので、いまは現役に対する拘りよりも、そういう役割に対してのモチベーションのほうが高いですね。


Q.具体的にはどうでしょうか?

A. やりたいことはいろいろあって、どれもまだ種まきの段階なので何とも言えない部分はありますが、ひとつは、指導者として“最高峰のチアリーディングチーム”を作ってみたいですね。世界に通用するようなチームが作れたらと思います。
もうひとつは、健康とか、楽しむとか、そういう部分でのチアも広げたい。社会を元気にしたり、笑顔にしたりすることを広げていけるような活動が出来たらと思います。
 
Q.最後に、薫子さんにとって、チアとは何でしょうか?

A. チアってほんと奥深いと思います。人間性を磨いてくれる存在というか。競技者として、女性として、そして人としてもそう。だからこそわたしは、単に競技としてのチアではなく、社会性のあるものとして広めていけたらと思っています。どれだけ技術が優れていても、心技体がきちんと揃っていなければ本物のチアとは呼べない。そういう意味では、非常にホスピタリティーの高い競技だと思います。
 
(取材・文/会津泰成)
 
【 取材後記 】
インタビュー中だけでなく、その後のレッスンでも絶やすことのない笑顔が印象的だった。『Keep Smiling』。笑顔の持つエネルギー、そして素晴らしさを心底理解している。だからこそ、彼女の笑顔はどこまでも自然体なのだ。
 


 

堀池 薫子(ほりいけ かおるこ)
6月3日生。香川県出身。神奈川県立厚木高校ダンスドリル部でチアダンスを始め、大学時代は立教大学体育会応援団チアリーディング部と厚木高校OGチアダンスチーム「クラッカージャック」で活動。大学卒業後はOLをしながらXリーグ クラブハスキーズに5年間所属。2003~2005年XリーグオールスターチアリーダーVENUS選出。2007年単身渡米して日本人として初めてNFLデンバーブロンコスチアリーダーに合格。3年連続メンバーとして活動後、帰国。現在は子どもから大人まで幅広く指導している。
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/kaocheersbroncos/
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